新発見! 体の中に水の穴

アクアポリン 新発見! 体の中に水の穴

2003年、アメリカの科学者ピーター・アグレ(Peter Agre、1949年1月30日 - )は、アメリカ人の医学博士、分子生物学者が人間の体の細胞に「アクアポリン(水の穴)」と名付けられた新物質を発見した功績でノーベル化学賞を受賞しました。

このアクアポリンがないと、人間は涙を流すことすらできないといいます。「体の中の水の穴」って、一体どういうこと!?

「穴(あな)フシギ!新発見・水の穴」

その実体は、内部に小さな穴が開いた筒型のたんぱく質です。

アクアポリン

この穴は、1秒間に数十億個もの水分子が通り抜けることができます。この「水の穴」が体内にあるからこそ、肌に水分が補給されたり、ものを食べる時に唾液が分泌されたりするのです。

この「アクアポリン(水の穴、という意味)」が体内の「ある場所」に水の通り道を作ることで、飲んでいる水の量が少なくても、脱水症状にならずに済んでいました。

その「ある場所」とは、血液中の水分を濾過して尿を作る腎臓です。

「脱水から身を守るアクアポリンの働き」

血液中の水分が不足すると、脳は「脱水状態」を検知し、特別なホルモン(抗利尿ホルモン)を分泌して、腎臓に脱水を知らせます。すると、腎臓の細胞内にあるアクアポリンたちが、腎臓内で作られた尿(原尿=げんにょう)が流れる管の表面に移動し、「水の穴」を取り付けます。

この穴を通じて、尿の中からきれいな水だけが取り出され、水分の減った血管に注ぎ込まれるのです。脱水状態が解消されると、アクアポリンはまた細胞内に戻ります。

こうしてアクアポリンは、脱水の危険から私たちの体を守っていたのです。細胞はその表面が脂の膜で覆われており、通常は水がほとんど通り抜けられません。

しかし、脱水状態になると、アクアポリンが移動してこの膜にはまりこみ、その穴を通じて尿の中からきれいな水だけが取り出されます。

アクアポリンの内部に開いた穴の大きさが、ちょうど水分子1個がギリギリ通り抜けられるサイズになっているため、水分子より大きい尿中の老廃物などは、通り抜けられないのです。

ところが、いつもアクアポリンが正常に働いてくれるとは限りません。年をとると、腎臓はホルモンによる脳からの指令への反応が鈍くなり、さらには腎臓の細胞内にあるアクアポリンの数自体も減ってしまいます。

その結果、尿から水分を取り戻すことで脱水症状を緩和することが難しくなるのです。その分、積極的に水分を摂らないと、脱水症状に陥りやすくなります。つまり、1日に摂るべき水分量を決めて、意識的に飲むことが重要になってくるのです。

アクアポリンの機能の衰えは個人差もありますが、最近の研究では60~70歳代にかけて、腎臓の機能の衰えとともにアクアポリンの数も減少していくと考えられています。

研究者による解説

体内の水分が不足すると、血液の粘り気が強くなり、脳こうそくや心筋こうそくの危険性が高まると考えられます。また、体温調節がうまくいかず、熱中症などにもなりやすくなります。

暑くも寒くもない気候で、安静にしている時に、1日に失われる水分量は、尿はおよそ1400ミリリットル、呼吸・皮膚からの蒸発はおよそ900ミリリットル、便に含まれる水分としておよそ200ミリリットルで、1日合計約2500ミリリットルになります。

暑い時や運動時に汗をかくと、これに加えてさらに1日1リットル程度水分を失います。

1日に摂取するのが望ましい水分量の目安

1日3食の食事中に約1000ミリリットルの水分が含まれているため、最低でも残り1500ミリリットル分は水分として摂取する(飲む)ように意識することが望ましいといえます。

失いがちな水分量をある程度知った上で、「失う前に“先取り”して飲む」のが理想的です。

一度にがぶ飲みすると、尿として出てしまいやすいので、「“小分け”に飲む」ことをおすすめします(夜間頻尿につながる場合もあるので、飲み過ぎにはご注意ください)。

「先取り」「小分け」の水分摂取を、脱水大調査にご協力いただいたTさんに実践してもらいました。日中に失いがちな水分量を、あらかじめペットボトルに入れて持ち歩いてもらい、仕事の合間や食事中に小分けに飲んでもらいました。その結果、水分不足状態になっている時間帯が大幅に減ったのです。

どんな飲料を「水分」として飲めばいい?

アルコールは利尿作用が高く、飲んだ以上の水分が尿として排出されるので、水分摂取の目的には適しません。

カフェインを多く含むコーヒーなどの飲料も、高い利尿作用があります(麦茶やほうじ茶などはカフェインが少ない)。

糖分を多く含むジュース類や清涼飲料水は、糖分の摂りすぎに注意してください。

※お奨めは、テラヘルツ活水器「匠」を通過した浸透力の高い水です。